はじめに
夢をかなえるため、まずは資金を貯めなくては
将来が不安なので、お金を貯めていかないと
と、頭では思っていても、現実にはなかなか貯まらなくて状況が変わらない、という方は多いのではと思います。
この記事では、お金が貯められない人が共通してやりがちな、ダメな行動を明らかにし、行動を変えるためのコツをお伝えします。
この記事を書いた人
kumako
ファイナンシャルプランナー (AFP)
私の話
私も、以前はお金が貯められない日々を過ごしていました。
自分のことはお金にルーズな方ではないと思っていましたし、スーパーの安売り情報を確認して買い物をするなど、節約もしていたと思います。
それでも、給料日前に残るお金はわずか、お金はどこに消えていっていたのでしょう。
昔の自分へ
今の自分からFPの立場で、昔の自分にアドバイスするなら、
日頃の支出の無駄を見つけて、改善しましょう
携帯電話代などの固定費や生命保険の見直しをしましょう。浮いたお金を貯めましょう。
などと伝えると思います。
当時の自分にそれを実行できたかというと、とても自信がありません。
ですが、今ならアドバイスを実行するため、貯められない行動を回避する方法がわかります。
貯められない行動とは
まず、お金を貯められない人が、特に怠けているわけではありません。人の行動特性として仕方がないのです。
人に備わった非合理的な行動特性の一例として、
現状を変えたくないという選択をする現状維持バイアス
現状維持バイアス
選択肢にメリットとデメリットが共に存在するとき、リスクや失敗を恐れて非合理的な選択をすること
多数の選択肢があると決定できなくなる決定回避の法則
決定回避の法則
商品の選択肢が多いほど、人はよりよい買い物ができるように思えます。しかし、選択肢が多くなり過ぎると、人はむしろどれも選べなくなる傾向があります
があります。
これらの行動特性は、社会心理学や行動経済学の研究で明らかにされたもので、この特性がゆえに合理的な損得計算ができなくなります。
例えば、
携帯電話代などの固定費を下げるため、格安携帯会社のプランを調べて比較検討すれば良い
しかし、メリットはありそうだけど失敗するかもしれないし、面倒臭く感じて踏み出せない(現状維持)
携帯電話の料金プランを調べ始めると、様々な会社が色々なプランを出している
しかし、選択肢が多すぎてどれがお得なのか決められない、焦って変えると失敗しそう(選択回避の法則)、
と考えて、現状維持を選び行動をやめてしまいます。
このように人の行動は、行動特性に沿って貯められない方向に行きがちなのです。
どうすれば良いか
貯めることを妨げる行動特性をうまく回避するには、コツがいります。具体的に考えてみましょう。
お金を貯めるために無駄を減らしたい
たとえば
平日に毎朝立ち寄ってしまうコンビニでの、ついで買いによる無駄遣いを減らしたい
コンビニに入ってから買い物の誘惑に勝つのは難しいため、コンビニの前を通らない通勤ルートに変えます。コンビニから遠いところで行動を決定し、その行動を守って実行します。
人は不思議なもので、誘惑要因から距離が離れていると、誘惑に勝つのが容易になります。ルートを変えなくても、単にコンビニと面していない歩道を通行するだけでも効果があります。
お金を貯めるための強制力
あわせて実行したいのは、給与から貯めたい金額を自動で取り分けてしまう方法です。
給与からの自動で引き去る方法と、自分で毎月一定のお金を取り分ける方法は、金額が同じなら何も変わらないように見えます。
しかし、一旦自動取り分けを設定すると、続ける方に現状維持バイアスがかかります。自分でお金を取り分けていると、面倒な取り分けをやめてしまう方向へ現状維持バイアスがかかります。
結果はずいぶん違ったものになります。
勤務先に財形貯蓄制度がある場合、この制度を使わない手はありません。引き出す手続きは面倒なため、現状維持バイアスが勝って貯まるようになります。
給与振り込みをしている銀行で、普通預金から定期預金へ自動振替するよう手配するもの良い方法です。
家計を見直すための他人の力
携帯電話代の見直し・保険の見直しのハードルを越えるには、この辺りに詳しい友人に調査を頼んだり、保険見直しの窓口へ赴くなどして、他人の力を使いましょう。
自分一人の力では、次々と襲ってくる現状維持バイアス、決定回避の法則を超えるのは難しいです。
人の力を借りたからと言ってお金がかかるわけではありません。人が言ったとおりに変える必要もなく、途中でやめても良いのですが、ここにも別の行動特性が出てきます。
返報性の原理といい、人は何かをしてもらったときはを、相手にお返しをしないといけないと考える行動特性があります。人に助けてもらったら、その結果をお返ししたくなるのです。
返報性の原理
自分を助けてくれた人が、困っている場合には、今度は自分が助けてあげる(恩を受けたら返す)というように、相互の支援を促す社会的なルールです。
携帯電話代の見直しや保険の見直しの実行までいき、見直しを助けてくれた方へ報告する動機が生まれます。
まとめ
自分は意思が弱いのでは?、とお金を貯められない自分をあきらめていたかもしれません。意志が強い人は、誘惑が目に入っても打ち勝つだけの内なる動機があります。
内なる動機を自分で育てなくても、誘惑を減らして、変化を嫌ったり決定を先送りしたりする人の行動特性を、うまく自分の目的を達成する方向で生かしてあげれば、お金は貯まります。
お金が一定以上貯まってくると、今度は貯まったお金を維持したいという現状維持バイアスが増えますので、ますます貯まりやすくなります。
貯められない状態から貯められるように行動を変える、初めがとても大事です。